第一〇九二回 思いの外、大家族に。


 ――ふと思えば、そうなの。某国民的アニメを超える大家族になってゆくの。



 僕が南條なんじょう千佳ちかとなった日に、太郎たろう君と梨緒りお千恵ちえで、すでに南條家は四人家族。パパとお母さん。それにお祖母ちゃんに美津子みつこさん。それから梨花りか星野ほしの家だから……合わせたら、同じ屋根の下で九人家族となってしまう。しかしながら、パパの希望でもあった。


 太郎君を我が家に迎え入れること。


 その日を待ち望んでいたことをも。


 思えば星野家で男性はパパだけで、男手に困っていたのも事実だった。昔はティムさんがいたから助かっていたけど……それだけではなく、パパにとっても初めての息子だ。


 だから、それが理由。


 パパが二世帯を望んでいたから。幸いにして、お家は広い方。元は喫茶店を営んでいた建物だったから、しかも大改造ともいえるリフォームもしたお家だから、もしかしたらだけど、三世帯も実現できそうなの。と、いうことは……


「梨花も結婚したら、僕と同じく同じお家に住むの?」と、そんな質問が導かれたの。


「さあね、その時にならないと、わかんないよ」と、梨花は言うものだから……ギュッと手を握った。僕は「十三年の時を経て、奇跡的に会えたんだよ、僕たち。だから……」


 この思いを、どう伝えたら? 言葉にすることが難しくて、ちょっぴり泣きそうに。


「千佳、わかってる。僕はお姉ちゃんとして、やっぱり千佳のことすごいと思ってる」


 いつになく、穏やかな瞳の梨花。


 その瞳の中に、僕が映っている。


 梨花もまた、言葉にすることが難しいようで、でも、とても優しかった。お互い思いは伝わり合っている。その中で歩む帰路。散髪も、お揃いのヘアースタイル。十三年の時を経て会った時と同じ、ボブというヘアースタイルだ。握る手は……繋ぐ手に変化して。


「帰ったら、きっと待ってるね、梨緒ちゃんと千恵ちゃん」と、梨花は笑みを浮かべ、


「うん、いつもありがとね、僕を手伝ってくれて」と、いつまでも仲睦まじい双子だ。



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