第一〇六九回 そして、スタンプラリ―の目的って何なの?


 ――その理由を、梨花りかは答える。梅田の地下ウメチカから、走る電車の中で。



 僕らの外観は七歳児。梨花の記憶に、僕は存在してなかったようだから……梨花は、生粋な七歳児ということ。つまり僕だけ、高等部二年……いや、この春から三年生だから、


 しっかりエスコートしなきゃ。中身はグッとお姉ちゃんだから今は。


 双子の姉である梨花のお姉ちゃん。思えば、面白い設定なんだから。


「ねえ、千佳ちかは興味ある? プラモデル。なくても付き合って欲しい。何せ乗り掛かった舟なんだから、滅多にないんだよ、僕ら、こんなにも似てるんだから。きっと縁ありだ」


 と、車窓の外は暗闇。だからこそ映る、僕と梨花のツーショットが……


 フーッと息を吐く僕。クスッと笑い零れる中で「初めてなんでしょ、この辺。きっと大丈夫。ゴールには君のパパがいると思うから。集めよ、アオヤマの伝説巨人のシリーズ」


「うん。何か千佳って、お姉ちゃんみたい」


 キラキラと、まるで少女漫画の女の子のように輝く瞳。お姉ちゃんの筈の梨花が、僕のことをお姉ちゃんみたいと言っている。いつもの、僕の知っている梨花は、毅然としているから……まあ、僕が妹だからって、偉そうに踏ん反り返っていることはあるけど……


「任せて。この辺は、僕には庭みたいなもんだから」


 と、ドンと胸を叩いた。すると、何かが奥で弾けたようにギュッと、梨花が僕にしがみついてきた。震えていた? 繰り返す「ありがと」という言葉。そして愛おしく思えた。


 向かう先は……


 琥珀色をした夢の中へ。きっと天下茶屋へと繋がるルート。堺筋へ……


 暗闇のレールを切りつけながらの車輪は、確実に前へ進む。そのタイトルは多分だけど『パパを訪ねて堺筋』と成り得る物語。その主人公は梨花だ。僕はバーディーな役割だ。


 ――カッコイイ!


 と思えて湧き上がるモチベーション。今再び綴っていきたいと思えたの。


 アオヤマの伝説巨人シリーズは、何と言っても、今のバンプラの原型となった存在だ。



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