第一〇六八回 束の間の記憶、ちょっとだけ寄り道。


 ――三月も、もう三十日。フカフカとした夢の中へ。


 それが一時の転寝でも、貴方とは手を繋いでいるの。



 本当なら、充分に学生生活における青春を満喫した後で、それはもう大学生まで。そして社会の波に揉まれ、逞しくも成長を遂げながらの結婚。その後のことなので……


 だったのだけど、


 ある意味では、サプライズにも似た未来地図だった。


 未来は、予想と違うから、大変な反面、スーッと楽しさも入り込んでくる。それがポジティブな思考。少しばかり早かっただけ。それに、可愛い我が子が我が子たち……


 小春日和の散歩道、それがまだ夢の中でも、


 それが現実になるのも遠い未来ではなくて、もうすぐそこ。


 これからも、この先も、ずっと……君と、ううん、貴方とは、そんな関係は続いてゆくの。僕と貴方の子供たちは、もうすぐ誕生を迎えようとしている。それからね……


 この道を、可愛い我が子たちを真ん中に歩く。ずっと、ずっと……


 ――貴方のパパとママは一緒にいるよ、ずっとだから。


 うん、見える未来図!


 目が覚めて喩え身体が幼いままでも、ある条件をクリアすれば、元に戻れる筈だ。元に戻ったのなら、僕はまた貴方と……太郎たろう君と手を繋ぐ。それまでは梨花りかと一緒……


 幼く身体の縮んだ七歳児の僕らの冒険は、まだ続く。


 あの日、三月三日から、梅田の地下から始まった、スタンプラリーの旅。それは何の企画なのか? 遥か未来の未来地図? 万博という名の企画から始まったもの?


 身体は七歳児だけど、少なくとも僕の中身は現在の僕。某探偵アニメとは違って、頭脳も子供かもしれないけれど、梨花と一緒ならクリアできそうな気がしてくる。


 ポジティブに考えようと、その根拠はないけど、この七歳児の梨花は言う。


 なので歩む。メトロと呼ばれるこの地下鉄から、制覇をしていく旅路へと。



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