第一〇六五回 バレンタインが過ぎても。


 ――例年と同じように、今年もまた作っている。



 つい昨日までは、違うものを作っていた。それはティムさんと、あの日、ドバシカメラで購入したバンプラ。二人で選んだ……緑の継ぎ接ぎと、モノアイに動力パイプが特徴な量産型。量産型と言っても特別なもの。映画・ドバシ島に登場した機体だから。


 あくまで二人きり。


 僕のお部屋でティムさんと。


 寒波が厳しい季節。炬燵で温まりながら、梨花りかから借りたお道具で進める組立。このワクワク感は多分、梨花と共通なもので、ティムさんも夢中になっている様子だ。


 百四十四分の一スケールはあるものの、百分の一スケールが新発売されていたので、僕もティムさんと同じ気持ち。仕上がりも楽しみだけれど、組立も楽しんでいる。


 二度おいしいということ。


 内部メカが再現されていて、その上から外装……


 接着剤はナシで、パチパチと組むだけでも再現性はバッチリ。一日限りの親子の時間は一週間になってゆく。梅田うめだの姓の時の父と娘の時間。このバンプラは特別なもの。


 完成したら、このお部屋に飾られる。


 Nゲージのゼロ系が走る風景となる。お部屋はもう、想い出の宝庫。飾られているものたちが、僕の歴史を語っている。それはボッチでなくなった証。僕には二人いる。


 大好きなパパ……


 星野ほしのとしても、梅田としても、僕はやはり僕。


 結婚式には二人、同じ式場にいるの。子供が先になったけど、結婚式は行うの。初めは和装も良かったのだけど、やはり純白のウェディングドレスは憧れ。太郎たろう君は純白のタキシード。ケーキ入刀から、また僕らの共同作業は始まってゆく。そこからは夫婦。


 髪も、伸びていた。


 想いを募らせるのと同じように。肩よりも背中へ、これからの道程も併せつつ。



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