第一〇六〇回 時にはこんな土曜日も?


 ――来たよ! 鳴るインターフォン、ドアを開けたら、満面なマリーちゃんの笑顔。



 普段、学園で見る感じとは違って……立体感というのか、喩えるなら、テレビ版の映像から劇場版の映像に変わった感じの……上手くは言えないけど、そんな感じ。お迎えの車もすぐそこに。赤とピンクのワゴン。梨花が見たら、きっとね、


「わあ、レッドコメット専用みたい」って、歓声をあげることだろう……って、振り向けば「あ、梨花りか」が、いつの間にか背後にいた。そして僕は訊く、その結果はね、


「へえ、僕も行く、楽しそうだね」と、いうことになって一緒も一緒、一緒に乗った。


 相乗りする、そのお車に、もう一人いた。


「あ、この子も一緒だから」と、マリーちゃんが言うも、僕と梨花は口を揃え、


りん」と、その名を口にした。するとクスッ……と、笑みを浮かべつつ「大勢の方がきっと楽しいよ。お人形遊び、とっても懐かしいね。小学生の頃を思い出すね……」

 と浸る浸る遠い日々の、楽しかった思い出へ。


 脳内で見る映像は、きっと、凛と共通なもの。


 思いの外、到着は速かった。あっと言う間の様な気がした。マルチメディアの中心部の少し向こう側にある、方向としてはハルカスの方へ近い場所。聳える白い御城。


 もうその中へお邪魔していた。僕ら三人とも。マリーちゃんのお部屋の中へ。


 四階と七階、マリーちゃんは二つの階にお部屋を持っている。今回は七階へ。


 そこに広がる世界は、


「わあー」と、思わず歓喜の声を誘われる程で、


「すごーい、もう一つの町だよ、ここは」と、凛も感想が込み上げてくる程で、


 喩えるなら、もうジオラマの世界。ここは一体どれくらいの広さ? 僕のお部屋よりも遥かに、規模が違い過ぎる広さなの。凛も僕も、早速と手に取るお人形。そして凛は、


「ウフフ、こんにちは」という具合に、小学生だったあの頃を再現した。僕もまた同じ気持ちだから「こんにちは、いいお天気ね」と、始めるお人形さんの井戸端会議。



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