第一〇五〇回 青い瞳の来訪者。その奥に潜むものは?
――吹き遊ぶ風の中、学園を訪ね、少女が現れた。何の前触れもなく十二月に。
見た感じは小学生で、何だかガラの悪い男三人も一緒。三人の共通点は学ラン。リーゼント頭とヘビーメタルのような趣の長髪。パンチの効いたパーマ。まるであの頃を……
真ん中を歩く少女は、異国の子。青い瞳に金髪。今まさに、僕の真正面に立つ。
まるで初対面。
「エ……Excuse me……?」
どう反応して良いのか、わからずで、
「芸術棟、どう行ったらいいのかしら? あなた、この学園の子ね。……前後左右か或いは順序などを示してくれるだけでいいわ」と、少女は僕を見るなり、そう言った。
何者? と、普通ならそう思うけど、
「ここから暫く真っ直ぐで、あの渡り廊下を右に行って、そのまま道なりに行けば、三階建ての、硝子張りのような建物がそうだから。……多分、写真が大好きなポニーテールの女の子がいると思うから……」と、素直に道順を教えていた。何故か一言も付け加えて。
すると、少女はフッと息を吐き、笑みを見せて、
「ありがと。あなたが安心して通える学園にして見せるから、何も心配しなくて元気な子を育んでね。そのために、私はここを訪ねたのだから」と、その一言を残して行ったの。
振り返らず真っ直ぐに。
見た目とは真逆な妙に大人びた子。僕が妊娠していることも見抜いていた。
学園とは深い関わりがあるのだろうか? その疑問を超える程に、わけのわからない説得力みたいな、オーラ―が迸っているようなイメージだった。僕なんかよりも、その何百倍以上のものを見てきただろう青い瞳。普通の子の瞳とは異なっていた……
質問したいことは溢れる程……
そのどれもを超越する程に、もはや次元の異なるお話と、そうなりそうだから。
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