第一〇四六回 仄かに白い場所は、土曜日の診察室か?
――そう。今日は土曜日。静かなる午前。冷たい風が流れ、そっと包んでくれた。
僕の震える身体。カーディガンは羽織っていても、その上から……
ジャケットのようなもの。
見える後ろ姿……
僕の少し前の順番な人、
――芸術棟に整然と飾られているジグソーパズル。
それは
北陸本線に隠されたもの。
かつて春美さんが歩んだ道程……大切な人と歩んだデートコースを紐解くように、陸君が形見離さず持ち歩いているバイオリン。そのネックに飾られているリボンに共通。
脳内で行われる追跡の最中、呼ばれる僕の名前。
――
と、マイク越しに。迎えた診察の番。そして擦れ違う。椎名春美さんと僕。一瞬だけどお顔も拝見した。……春日さんに似た、ボブの綺麗な人。ピンクのパジャマ……この病院に入院している? 僕もまた、ここを訪れることになる。今はもう六か月。出産に向けて幾度も機会はあるの。今度もまた、太郎君と一緒。なら、一緒に謎解きを始めるの。
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