新・第五章 十月末の文化祭。その心は?

第一〇四一回 コラボする行事。そこは協力し合って。


 ――陰に忍び寄るイベントと、王道の文化祭が何と重なった。それは十月の末。



 十月三十一日に行われること。ハロウィンパーティー。今、東の都では規制されているけど、この学園ではオープンに、堂々と繰り広げられているの。


 その主催者は誰だと思う? きっとよく知っている人。結構有名な人だよ。最近は仲の良い女の子と行動を共にしている。噂では幼馴染と言っていた。


 その主催者は松近まつちか君。


 この学園の行事を、生徒ながらにしてコントロールできる権力者。せつが言うには、生徒会長よりも権限を持っているらしい。故に生徒会は、松近君と繋がっている。


 政界でいうなら、連立を組んでいるという感じだ。


 その中で行われる文化祭は、一般の方も出入りする。オープンな学園を目指し。行き交う人々の中には、新たに学園を受験する子もいるかもしれない。その子たちの興味を引くような催し物を考えに考えた。その中で誕生したものは、新たなる部門……


 そらちゃんが初代部長となる写真部が、芸術棟の中で誕生した。


 芸術棟の主は、今は令子れいこ先生から葉月はづきちゃんへと受け継がれているけれど、そこに加わる空ちゃん。早くも仲良くなっていた二人。絵画と写真のコラボを実現していた。


 絵画は幾つも展示されている。


 葉月ちゃんの描いた絵画は人物だけではなく、学園内の風景を事細かく描いている。まるで葛飾かつしか北斎ほくさい富岳百景ふがくひゃっけいのように、学園物語が描かれているの。……ただ、人物画も展示されている。それは僕……この夏休みに描いた僕の、一糸まとわぬ肖像画だった。


 男の子も女の子も関係なく見ているの。


「綺麗な子ね、学園にいたかしら」という声も聞こえていた。意外と僕だと気付く人は少ないようだ……まあ、太郎たろう君や梨花りかたち、一部の人々を除いては。そして、もう一人いたのだ。空ちゃんが「とっても素敵だよ、ウメチカさん」という言葉を残して。


 メイド姿で飾った空ちゃん。見渡すも、どの子よりも一番に似合っていた。



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