第一〇二二回 教室の窓から見える世界。


 ――それは旋風の世。


 でも、窓より内は、一学期に見た教室と何も変わっていなかった。



 僕の事情を知った上でも、普通に接してくれるクラスメイトたち。それは太郎たろう君に対しても同じだから、安心を得た。訪れる始業のチャイム……二学期の開幕を正式に告げた。


 教壇に現れたのは、我が担任の瑞希みずき先生。

 高等部の三年間を、共に過ごす先生なの。僕らの卒業を見守って。


 その頃にはもう……

 僕は、この子たちのママになっている。今はまだ、お腹の中……


 卒業したならば、僕は進学するよう言われている。パパにもお母さんにも。大学へ通うの。修得と取得、教員免許。必ず先生になるって決めたからだ。それが約束。


 お母さんとの、硬い約束。


 すると、いつの間にか瑞希先生が傍にいた。


「何かあったら必ず言ってね。わたしは味方だから、君の味方。もちろん彼のことも含めてね。……早坂はやさか先生とも相談して、バックアップするから、君は自身のことに専念して」

 と、声を掛けてくれた。


 そして、ここにいるクラスの女子の大半が、僕の事情を知っているの……


 今日のメインは顔合わせ。


 始業式とでも言うのだろうか? 教室の中で完結できる程の設備。モニター越しに、校長先生の御挨拶があったの。相変わらず長いけれど、真面目に入ってきたの。


 高等部も残り半分。しっかり聞けるようになった。


 長いようで、きっと短い。切なさを覚える程……


 温かくも、温かい言葉で綴られ……「千佳ちか、どっか具合悪いの?」と、僕の顔を覗き込む梨花。僕は「大丈夫」と見せる、涙と笑顔。卒業式でもないけど、染みる言葉だった。


 その時にふと思い出す。プラネタリウムは再び開館するの、本年の十一月頃に。



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