第一〇一六回 これから、ずっと。
――
でも、僕の傍にいる梨花には見えてない。
けど、感じてくれているの。僕の言葉や仕草から……僕の独り言と思わないのが、
白く……
今にも消えそうだけど……
『
「だって……」
『きっと千佳には、僕が消えそうに見えてると思うけど、これはお別れじゃないんだ。確かに今見えてる僕の姿は、もう消えるけど、僕はずっと、千佳の傍にいるから』
「僕の傍に?」
『そうだよ。もう千佳の中に僕はいる。中だけに、お腹の中だけど』
「僕の赤ちゃん?」
『そう。見守ってあげれられるようにって。だから双子。僕の時間は、未来へ繋がったんだから、ここは涙じゃなく笑顔の場面だから、そうだろ、ママ……』
「うん、ありがと。今まで見守ってくれて」
――そう。笑顔の場面だね。
旧一おじちゃんは、やっと未来へ向かえるのだから……
「今度は僕が見守る番。何も心配いらないくらい、
涙を拭く、雫は残っても笑顔で。
『千佳、ありがと……』
光が差し込む、お空の灰色を切り裂くように。旧一おじちゃんは最後に笑顔を残した。
そして……「ほら、綺麗な虹だね」と、梨花と見る風景には、もう嵐は去っていたの。
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