第一〇一〇回 テラスの午後三時。
――枯葉には、まだ程遠い蝉時雨。樹木は青々と茂っていた。
僕らは向かう。約束通りに
――
午後三時、迎えに来た
するとその奥深く……
白く映えるテラスに、
「先客いるけど大丈夫?」
と、令子先生は訊く。僕らに……
「もちろん、大丈夫です。
そう答える。その発端は、令子先生にあった。あの時、まだ話さなくてもバレたというのか……わかっちゃったみたいなの。先程のアトリエで、僕の様子を見ただけで……
「
と、瑞希先生は問う。今の僕らの担任は……彼女だから。今度ばかりは、いくら彼女でも、きっと怒られることだよね。と、ある部分では乖離状態ではあるけど、コクリ……と頷いた。今でも少しは、お腹が。近いうちにわかっちゃうよね、どちらにしても……
「御両親はもう知ってるのね。君は、生みたいんだよね。……だったら、先生は君の味方だから。実は、お母さんから聞いたの。二学期からも、ちゃんと学園に来るんだよと、それが言いたかったから。その様子だと、梨花さんも葉月さんも知ってるんだね。君は勇気をもって、正直に話したんだね。わたしはそのことが、何よりも嬉しかったの」
と、彼女は笑みを見せた。そして「それにしても令子、相変わらず勘が鋭いのね」「よく観察すればわかるよ。やっぱり瑞希だね。千佳さんのこと、ちゃんと理解してる」と。
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