第一〇〇五回 可奈を筆頭に出発。
――そう。突然現れ、何故かこの場を仕切っている人物。それが
彼女についてくるのは、ここに集まった女子全員。名前を挙げると
それでもって、行き先はというと、さっき翔さんが行こうと言っていた喫茶店。
その道案内は、結局は翔さん。
可奈は便乗しているだけだけれど、結構偉そうに物を言う。何故にそこまで仕切ろうとするのか? それは可奈だから? いいえ、僕を安心させるためだった。彼女は知っていたのだ。今日の僕の行動を……梨花を通して。なら、梨花が黒幕……ではなくて、きっと僕のことで、皆に助けを求めていたのだろう。なら、辻褄が合う。偶然のように見せた必然。すると、梨花は「わかっちゃったみたいだね」と囁くように言った。
僕は……
そんな梨花の優しさが照れくさくと思うも、でも、心から、
「ありがと」
と、その一言に尽きる。それにしても……
「初めてだね、女子が集まってお出掛けするの」
「そうだったね、いつもは可奈と三人だったね」
「そんだけ学園生活が楽しかったんだね、お友達も増えて、夢みたいで……」
笑っていられなくなりそうで、泣けてきそうな感じがして、そんな時なの。
「これからも楽しくなるよ、千佳先輩」
と、葉月ちゃんの声が、脳内を支配する程に響いた。
「お願いしたいことがあるって、言いましたよね? この夏休み、千佳先輩が大変なのは重々承知していますが、僕に預けてほしいんです。きっと素敵な思い出にしますから」
梨花はウンウンと頷く。
葉月ちゃんの目力は、その決意のほどを物語っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます