第九七四回 噂という名のミステリーを捜索し。


 ――キラーンと光る葉月はづきちゃんの目。暗闇の中、僕と行動を共にしていた。



 僕は捜した。葉月ちゃんの証言を元に、噂を広めた誰かを。


 梨花りかが失恋したその夜に、その噂は広まった。各々の話題のネタにされていた。


 かい佐助さすけ君を梨花から奪ったと……ある程度の真実を歪めながらも、まるで伝達ゲームのような仕組みで広まっていた。……それって何? 真剣な恋愛も友情も笑い話?


 震える僕……漲る怒り。


 梨花が懸命に気持ちの整理をしている間、面白がって、茶々入れているようで……僕は許せず「噂を広めた張本人やつ、とっ捕まえて、梨花の前で土下座させてやる」と言うも、


「もういいよ。今のままで充分だから」

 と、梨花は穏やかな顔のまま言うものだから余計に……


「良くない! 葉月ちゃんもそうだよね?」


「そうだね。是非ともその犯人の顔を拝みたいよね」……と、何か僕の思っていた反応とは違うものに。違う方向に行きそうな葉月ちゃんの目。今後の展開に少し……影響しそうな予感が過りながらも行動を開始したの。まさに肝試しの時がそう。機会を待つ。


 犯人捜しは、梨花は反対したけど、僕は通した。


 自らの意思の思うがまま。葉月ちゃんはそれに便乗して、調べたそうなの。自身が聞いた噂を遡って、地道な聞き込み。クラスから他のクラスの子……すると、絞られてきた。


千佳ちか先輩、僕と同じ学年の子だったよ」


 夕闇の中、葉月ちゃんが僕を訪ねて、宿舎の裏庭とでも言いそうな場所。そこで言ったことだった。そこからが問題だ。佐助君と関係するルートから見えてきたことで、梨花を嫌っている子というところまで絞られたのだ。そして、この肝試しを企画した者。


 そして葉月ちゃんは更に、


怜央れお君が一緒に動いてくれたから、この時までに間に合ったよ。何せ犯人は、何らかの罠を仕掛けてくるはずだからね。よっぽど嫌っていたから、梨花先輩のこと」と加えた。



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