第九七三回 八月はまだだけれど、登場したの。
――
「おっ、はよ、
「あ、私? 初めましてだね。
と、海が言いかけたところ、葉月ちゃんは「あー」と声を上げた。指もさしていて。
「あなたね、梨花先輩から
と言いつつ、思考の世界に入ってしまった葉月ちゃん。
つまりだね、この子は今、学園ミステリーという分野にハマっている。学園ものは大好物だけれど、ミステリーは僕には不得意な分野。しかしながら『書くと読む』のコンテストでは開催されていて……もしかしたら、葉月ちゃんが挑むのでは? そして更にね、
「あ、あの、今夜どうかな? 肝試しやるみたいなんだけど」と訊いてみる。
「ちょ、千佳、あなたまさか……」と、梨花の声が聞こえる中で、ニコッではなくニパッとした笑みを見せた葉月ちゃんは「ホントですか? 千佳先輩、是非是非参加します」と僕の手を握ってくる始末。しかも両手。余程なまでに、そうゆうことに興味あるの?
と思いながらも、予想通りとも思えた。やっぱり……という具合に。
「じゃあ、今夜九時に宿舎の前へ集合。葉月ちゃんは僕のチームだよ」
少しばかりニヤッとした腹黒さも表情に現れていたようで、梨花は「千佳ったら、黒いオーラー出てるし」との呟きも聞こえるけど、これで安全の確保ができたと思えたの。
「それにしても、どうして知ってるの? 昨日のこと」
と、梨花は葉月ちゃんに訊いてみると、
「もう噂は広まってるよ、僕らのクラスにも。それに、柊君は僕と同じクラスだから」
と種明かし。何とまあ、世の中狭いもので。
そう言えば、葉月ちゃんと
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