第九六四回 大団円の期待は、もうすでにお家でも。


 ――文字通り、お家。太郎たろう君も一緒に僕のお家へ。最大の避暑地を求めた。



 すると何? 玄関に鏤められた靴の数々。バラエティーに富んで。上がる玄関、そして二階へ脇目も振らず、まっしぐらに梨花りかのお部屋へ突入した。


 某山荘のような巨大な鉄球はなくとも、その勢い。伊達に今日のデートの格好が、二人揃って半袖短パンではないのだ。……って、あまり関係はないようだ。それでなくても注目の的だ。皆の視線を一挙に受けたのだから。なら、少なくとも三人以上はいる。


 何をしているのかというと、


 皆揃ってバンプラ制作。久しくビッグサイズのものだった。弾むお喋りが楽しさの証明となる。女子だけではなく男子の姿も。太郎君は掛ける、声を。その男子に……


「お前は何だ? 何故いる?」


「そういうお前こそ何だ? 何故一緒にいる? 星野ほしの……千佳ちかの方と」


 そう声の掛け合い。男子は太郎君と合わせて二人。女子は僕と梨花を含めると、四角関係の四人。次に明かされる名前。にこやかに梨花は言う。「またやるよ」と……


「僕と佐助さすけ君がコラボした作品。そしてせつ可奈かなも手伝ってくれるから、カルテッドになるかな。目指すウメチカ戦。八月なんてまるで甲子園みたいだね、高校球児のように」


「道理で白色。何か綺麗なクリアーパーツもあるようだけど、変形するの?」と、今度は僕から訊いてみた。ランナーパーツから想像するに、ユニコーンと呼ばれる機体。


 見た目がユニコーンのように角がある。全身が白色。それが割れるの。その間から光り輝く水色。赤の場合もあれば、黄色の場合もある。まるで信号機……クスッと漏れる笑い声。聞き取られる地獄耳。佐助君の地獄耳は瑞希みずき先生を凌いでいると考えられる。


「神聖なるユニコーンを笑うというのか? だったら手伝え。お前たちの力も糧としようぞ。目指すは優勝。それ以上でもそれ以下でもなく、バンプラ部門のナンバーワンだ」


「生憎、僕と太郎君は℮スポ部門に出場するの。こう見えてもキングキングスだから」


 驚きの顔を見せる佐助君。そして、きっとドヤ顔になっている僕のお顔だ……



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