第九三四回 未確認を確認すれば。


 ――例えば学園の七不思議も、未確認だから七不思議のままなのかもしれない。



 僕が見た可愛いUFOは、未確認だからUFOと呼べるのかもしれない。スッキリしたいから? それとも好奇心も併せて? そんな思いから放課後に探検は始まった。


 僕と太郎たろう君と梨花りかりん……あと、しょうさんが「楽しそうだなあ」と言いつつ加入。


 この五人で探検を行う。


 何処へ飛んで行ったのか? どう飛んだのか? それは、僕の記憶の糸を辿るのが唯一の方法。だけれど曖昧で、僕自身が追いかけている記憶の糸。結ぶ場所を探して。


 それでも、


 それでもそれでも、僕についてきてくれる皆。その中でも「千佳ちか、思い当たる所を隈なく捜すんだ。焦らずゆっくりな」と翔さんは励ましてくれた。上りゆく夕陽。素敵な茜色が染めた風景。するとだ、本当に片隅……芸術棟の傍に、煙が舞い上がっていた。


 大きな穴……


 そして煌びやかな……ボール? まさにミラーボールという表現がピッタリだ。


「何故、こんな所に?」


 と……適正な言葉が見当たらず、この様な言葉に。


 可愛いと思っていた未確認飛行物体に、ほぼ間違いないと確信。受けて放つ光は、熱を帯びたような光。見た時を再現している。なら、何故飛んでいたのだろう? と、初めに思うべきことが、今頃だから。それ程までに、探すことに夢中だった。


 未確認だからこそ、想像が膨らんで楽しんでいた。


 学園の七不思議にエントリーするには、充分過ぎる内容だ。そこからは推測や推理のオンパレード。結びつく理由を捜す。ならば手に取る勇気……まだ未確認の内に入るその物体。見れば見る程、ミラーボールだけど。もう少し掘り下げてみるの。


 ここで翔さんは、スイッチらしきものを発見した。PC等である起動スイッチのマークが小さく描かれていた。そのミラーボールのような謎の物体Xと、そう呼ぶことにした。



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