第九三三回 学園の片隅にUFO。
――未確認飛行物体との呼び名もあるの。
ぼんやりと窓の外を見ているとね、目の前を通り過ぎて行ったの。これ位の距離……とはいっても、文章の世界では判らないよね? だいたい、そうねえ……五メートルくらいだったかな? 大きさは、そんなに大きくなくて可愛らしいの。超ミニチュアだよ。
……直径で三十センチあるかどうかかな?
そんな具合であやふやな説明。だからこそ未確認と言えると思うの。
その時の授業は数学で、
「またお前か、今度は何だ?」と柴田先生は問う。
この先生の授業の時に限って何かにつけて騒ぐものだから、もう僕は常習犯扱いになっていて、……それでも、見た通りにお話ししたの。見た通りに、忠実に……
「とっても可愛いUFOが飛んでいたの」
と、答えた。
ユーモアも洒落もなく有りの侭を有りの侭に。アドリブも厳禁と、心して。
「
ちょ、ちょい……
「あの、ホントに見たんだよ?」と、僕は何を言っていいのかわからなくなって、尚且つクスクスという笑い声で包まれ、力なく座った。力が抜けるように着席した。
「気にすることないよ」と、隣の席の
「俺は信じる、千佳の言ったこと。探してやるよ。一緒に探そう、見つかればもう未確認飛行物体じゃなくなるから、その方がスッキリするだろ?」と、後ろの席の
「放課後探検隊だね、何だかカッコイイ」と、前の席の
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