第一二八章 奥の細道は、芭蕉さんの調べ。
第八九六回 あの頃のように、初心に帰る。
――緑の薫りは、初めて訪れた日と同じ。懐かしくも同じ景色だった。
あの日も、この三人だった。
とても幽霊とは思えない程の存在感。
教科書や書籍でしか知らなかった容姿は、やはり同じなの。
なら、教科書の再現性は素晴らしいものがある。リアルと追及する姿勢が満載で、僕らも見習わなければと思う程……だから今、僕らは貴方の道案内のままに歩んでゆく。
木漏れ日の中を。
細道故に一列に並び、足並みを揃える。
奥の細道の醍醐味は、ここにあると思える。まるで行進だから。聖者の行進ともいえる程に堂々と胸を張って。前に進むための過程を描いているように、僕には思えるの。
何処まで進むのか?
それは、きっと前向きになるまで……
澄み渡る川と共に歩む。その先には、やっぱり大自然の中に現れる温泉。今はまだ、春も蕾の頃。風も若干は冷たく、温泉には丁度良い気温とも窺える。
バスケットに詰め込んだサンドウィッチは、食すにはまだ午前の刻。温泉で癒されてからがお勧めと芭蕉さんは言う。奥の細道は温泉へと続いているの。
秘湯と秘境を兼ね備えた場所。
もしかしたら可奈を筆頭にしたからこそ、この巡り合わせは実現した。
そう思えるようになるまでには、もう少しお時間が必要なようだ。僕ら三人の絆が、最強レベルと言われるようになるまで……そんなにはかからないと思われる。芭蕉さんが案内する場所は、そんな境地ともいえるのだろう。身も心も素敵な思い出に……
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