第一二七章 千の物語まで、あと百十回。

第八九一回 春、其々のスタートライン。



 ――三月十六日は、出発の意味を含んでいるの。僕らもまた、同じく進んでゆく。



 時は前に進むもの。後ろに進むことは、まず有り得ない。

 時を戻すことはできないけど、その代わりに進んでゆく。


 だから一日一日が大事。


 悔いなく進む。激動とも言える一年という歳月だったけど、思えば短く儚いように感じた。コロナ禍を経て、今は更なる激動を迎えている。隠れていたことも明るみになっている。政治よりも、僕らの日常が現場の声となる。


 その状況を仲間とできるのなら、そこからが明るい未来。

 胸を張って、その一員になれるよう、明るく振る舞うの。


 前向きに、ポジティブに。


 すると見えてくる、白黒の加減ともいうべき、オセロのような戦略。こういう時、将棋を学んでいたらと思う。将棋は別名、将軍学とも言われているから興味津々。誰が言ったのか? 他でもない、お母さん。


 忘れたと言っていたけれど、僕が覚えている。


 小春日和のそんな日。


 其々の息遣いを感じる。其々の出発に向けて。


 この物語が始まる頃は、ボッチで不登校だった僕だけど、そんな僕が生徒会に身を置いている。しかも風紀を担当している梨花と共に。


 思えばもう、登校も抵抗なくできている。ボッチではなくなって……いつもいてくれる梨花りか可奈かな。何もかもが変わっていた。革命はもう起きていたのだ。


 そしてこの度、松近まつちか君が中等部から高等部に進学する。しょうさんは、ついに高等部の三年生となって、本格的なラーメン道へと進んで行くと決心していたの。


 せつは生徒会長として、クリーンな学園生活を誰もが楽しめるようにと、そのプランを練りに練っている。りんはリハビリに励む。完全復帰を目指して。そして太郎たろう君は……



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