第八八七回 三つの末広がりの合体がここに。


 ――七が三つ並ぶと、世のお父様たちが喜びそうな数字だけど、八が三つ並ぶと、まさに末広がりの集団。それはきっと……パパとママと、その二人の子供と共にする未来。



 それが、今の僕のヴィジョン。

 僕の新章は、そのための準備。


 新章たるウメチカ! も、もう三年。続けてきて、そのことが解り始めてきた。僕らの未来はこれからだということ……そして僕が、自身の未来に求めていることも含めて。


 目覚めたら、いつもの朝。


 いつものルーティン。昨日までいた世界に戻っている。朝の光が訪れると、受け入れられる、心の中へ。リアルな一日。ポジティブな思考が脳内を明るくしていた。



 さあ、光の中へ。


 まず駆けてゆく。いつもと変わらない目の色で。


 それはジョギングというもの。ここから僕の朝のルーティン。先週よりも陽気に包まれて、もうジャージではなく半袖に短パン。風が肌に当たる面積が広がって、とても心地よい。それもまた継続している理由。使う筋肉は、ほぼ全身。それに筋肉で締まっていくから、見た目にも美しいフォルムになってゆくの。素敵な女性へ。


 そう。お母さんのようなフォルム。


 僕の憧れのスタイル。やはり自身の母親が、理想のスタイル。


 百五十八センチという身長だけど、まだ僕には届かない身長。百五十センチに近付きつつも、まだ低く百四十九センチほど。女の子の身長は、男の子のように伸びないから。


 梨花りかも、僕とほぼ同じ身長。わかるかわからないかの少しの差。或いは誤差の範囲。


 ……あっ、そういえば梨花は? 少し止まる。フミフミしながら。ちょうど信号待ちのタイミング。すると息切れしながら、囁くような声で……


千佳ちか、僕と一緒に走ってるの忘れてない? ペース早過ぎだよ」と、梨花が言った。



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