第八七四回 広がるお空、そして白い世界。


 ――今はまだ窓から見える景色。でも、白い世界は寒さを感じさせていた。



 またも洗う。余韻が消えない程度に、二人で一緒にお互いの身体。愛し合った跡を記憶の中へ収めて。そして着替える……それ以前に裸だから、着てゆく一方なの。


 勝負下着ともいえる梨花りかが選んでくれた下着。


 ……それにしても、普段と違う。大人っぽい下着。女豹になれということ? それだけに豹柄。黄色と黒の……って、とある球団のカラー。そして身に着ける下着。


 太郎たろう君は見る。一緒に着替えをしているのだから。ここでも違うの、男性と女性のお洋服。噂によれば脳の作りも、男性と女性は異なっているという。根本的にも。


 着替えが終わる頃に、

 言葉は久しく発せられた……


「送ってゆくよ、千佳ちかの家まで」と、太郎君は言う。だったら、

「寄り道ありきだよね。デートも込々で」と、僕は言う。太郎君の顔を窺いながら。


 その前に朝ごはんだ。


 和食? 洋食? と思っている間にトーストを焼く。二人して朝はパンだったの。食す食パン。テーブルを囲んでモーニングコーヒーも飲んで。熱々のコーヒーだ。


 ならば、出発時には温かい趣。


 見えるカラーも、とても明るい色。赤、青、黄のバランスを、巧みに操る。だから見違える。僕だけではなく太郎君も。明るい未来を強調するために。


 デートも込々な帰り道。喩えバスの中にあっても、君といるだけで成立する、明るく楽しいデート。スピードを感じる車内。流れる景色は緑色。バスの色は赤いから。


 プレイバックの趣。


 大きな思い出が脳内を散歩している。心地よい思い出たち。そんな中で到着する最寄りのバス停。そこから歩く暫し。十分満たない場所に、僕のお家がある。すると、向こうから歩み寄ってきたの、梨花とせつ、二人して「お帰りなさい」と声にしてまでも。



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