第八七三回 未来へ走るモーニング・パパ。


 ――同じお布団で目覚める。僕と僕が未来に於いて『パパ』と呼ぶ人。



 或いは旦那さん。御主人と呼ばれる場合も。そして僕は『ママ』と呼ばれて、奥さんともお嫁さんとも……呼び名は多種多様。状況によって様々で、状況によって対応する。


 華やかな反面……


 混迷する現実の世界。コロナ化も落ち着いたかのように思えるけど、ロシアとウクライナの戦争の影響なのか、物価の高騰。平成初期のような不況をも連想される背景……


 社会情勢も不安定だ。この先のことも実際は、


 ……想定外とも、すべてが想定外とも……でも、僕はポジティブな思想に身を置く。下腹部に手を添えながら、未来あるこのためにも。無力に近い力でも、僕は子を守るママでありたい。――お母さんが、僕を守ってくれたように。そして、絶対に何があっても、


 揃うの。パパとママ。


 片親の経験なんてさせないから。そこだけは違うの。


 ……あっ、平成初期は、まだ生まれてないの僕は。ちょっとした歴史のお勉強。学んだ知識だから。ニュースもチェックしているからなの。今はただ、眺めているの、太郎たろう君のお顔。とても近い距離。初めての距離感だ。グッと近づいたような感覚、その余韻が。


(いっぱいしたもんね)


 と、眺める太郎君の寝顔。無邪気な子供みたいに思える反面、ちょっぴりお髭も見える大人の顔にも。体格も、僕を包み込むには充分。するとパッチリを開いたの。僕はドキッとして脳内が『!』に支配された。無数とも、単体だけど特大サイズとも思える程に。


「おはよ、千佳ちか


「おはよ、パパ・・」と、絡める思い、身体で感じるものも密かに。


「じゃあ、俺は千佳のことをママ・・って呼ぶか」と、浮かべる笑み。大切なことだと思えるの、子作り。生きてゆくことは、生けるものに大切なことだから。噛み締める僕……


『お母さんが背中で教えてくれた、本当の意味と確信するから』



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