第八六三回 お空へ上りゆく世界観。


 ――雲の上より低いけれど、

 その心意気はスカイツリー。息も白く、今この場所で。



 とある建物のエスカレーター。或いはエレベーターのようにスピードに乗って。お空へと飛び立つ一部始終を、共に見ることとなる。少なからず、僕と一緒に歩むも丁寧に。


 僕に歩調を合わせてくれているの。

 太郎たろう君の心遣いは、いつもと同じ。


 梅田の乗り物とは、今日も登場する観覧車。その場所の名はファイブ! カップルが集う場所。その殆どが、僕よりも多分、お兄さんお姉さん。目上の方ばかりだった……


 今日は心地よい晴れ間。

 広がるお空だ。それももう夕方へと向かう。今がちょうど、真昼の夕焼けの刻。


 今日は平日で、学校帰りで堂々たる寄り道。


 何故この時を選んだのだろうか? 別に選んだわけではなくて心の行くままに。


「悪い子だ」と、太郎君が言うから、


「お互い様」と、僕が言う。まったくその通りなのだ。


「でも、これも立派な社会勉強だな」


「解釈によってはだけどね。きっと授業にはない内容。思えば、沢山あったと思える今日この頃。教科書にない内容。学校がなかったら、やっぱりわからなかった内容だ」


「言うね。学校というものの醍醐味は、そこにあるのだな、きっと。出会いから広がる社会へと繋がる道。授業だけでは経験できないこともまた、大切なお勉強なんだな」


 僕らの出会いもまた、

 学校という場所があったから。あの頃は、僕もまだ解っていなかった大切なこと。だからこそ、今が大切ということだ。それが遊びでも娯楽でも、そこから学ぶことがある。


「デートもまた然りだ。今この時さえも」と、しみじみと、


 噛み砕くように、同じ考えの中にある。観覧車の中で寒さ凌ぎに並んで身を寄せる。



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