第八五九回 まるでドーナツホールのような空白。
――それは、今の僕の心? でもね、そんな中にも球体。
空白を埋めるための球体? そのイメージは土星のよう。なら、その次は、真っ赤に燃える太陽のよう。見上げるお空は夕焼け。しっかりと材料が入っている袋……
僕の右と左には
僕と一緒に作るという、手作りのチョコ。
今日は十三日。マンデー。一週間の始まりだけれど、もう週末の気分。何でかというとね、可奈が今日、お泊りするから。その原因は何? 僕が今日、
……きっと、些細なことだと思うの。
「最近、俺に冷たいよな、
「何怒ってるの? そんなの、太郎君らしくない」
「俺らしいって何だよ? 俺だって、いつもいつも千佳の我儘に付き合ってるわけじゃないんだ。俺にだって予定というものがあるし、したいことだってあるんだ」
「僕がいつ我儘言ったの?」
「自分の胸に訊いてみろよ」
それから、「フン!」という具合に、お互いの顔を見なくなった。
それも真ん中で。中休みの教室の真ん中で。それなりに大きな声だったと思う。周りの子が見ていたくらいだから。そして今日は、一日の授業が終わったとともに教室を出た。
頭に角が生えたような感覚で、振り返ることもなく。
そしてガツガツと食す、帰り道のバーガーショップ。もうレッドコメットのスペシャルメニューではなく地味に、ポテトとコーラーが主食のような感じだ。
ふと涙も出そうになったけど、グッと堪える。泣いたら負けなような気がしたから。思い返す。太郎君との日々。僕は我儘だったのかと。太郎君が怒るくらいに……
僕だって、太郎君のことを想っているから。
堪えていたけど、ポツリポツリと涙が零れてきて、周りにいる子がチラチラと見るの。
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