第八五八回 その前にだね、二月十四日といえば。
――バレンタインデー。同じ月の二十二日の前にあるの。
まあ、当たり前だけど……
思えば、
昨年は手作り。
太郎君にチョコ渡したのは、梨花はわかる。僕と同じ意中の子だったから。それ以外に
忘れてはいけないのは
「もうすぐね、バレンタイン。また手作りで勝負よ、
って、目から火花バチバチ。何でこうなるの? と思いつつも、
「臨むところだよ。僕のハートはビッグだからね、もっと」
とか言ってしまったの。これではまるで『勝負したるねん』って感じじゃない。
そんなわけで、
僕は帰り道に、スーパーで材料集めに精を出すことになった。するとそこには、梨花がいて可奈も一緒にバッタリと鉢合わせ。気付いてないようだから、このまま見て見ぬふりを思うも一瞬……でも、気付かれたの。「千佳、先に帰ってたんじゃなかったの?」
と、いかにも見え透いた台詞。知っていて言っている顔。
「チョコの材料、買いに寄ったの」と、自分でもわかる程、小さな声だった。
「まっ、喧嘩する程いい仲だって言うしね」と、梨花はクスリと笑っていた。
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