第八五五回 ファイナルアンサー。


 ――最果てを見る程に、その答えは遠いけれど、松近まつちかさんは切なる願いをもって。



 校則もまた、原点に帰りたいと願っている。


 君たちのように、表と裏のない青春そのものな世界を広げたいから。ドミノのように人知れず、裏の世界での戦争を描かなくていいようにと……そう松近さんは言ったの。


 そして、こう語るの。


「僕は今まで、自分に都合のいいように、校則を変えてた。ドミノという組織もまた、僕にとって都合のいいように、更新に更新を重ねて、基本となる姿を歪めてきた……」


 だから今度は、

 悩める学園の生徒たちを救う、そんなドミノでありたい。


 校則を変える力も、その悩める生徒たちを救うための力でありたい。僕は千歳ちとせを通して痛感してきた。千歳はいつも、あなたのことを慕っていた。と、そう言葉を添えた。


 言葉を添えたのは、松近さんで、


 千歳ちゃんに慕われていたのを、初めて知った。初めて聞いた。


 どう言葉を返していいのか、言葉が見つからずだけれど、まっすぐに僕を見る千歳ちゃんの眼差しが、見つからない言葉をも、呑み込んでしまうように、返す言葉も不問とするように寛大なものだった。何で返すのか? どう返事するのかは、それだけは決定。


「僕たちと一緒に生徒会、頑張っていこうね」

 と、それが僕の唯一の答えだった。


 来るもの拒まずだから。誰とでも仲良く、僕はそう願っているから。


 争いのない世界。皆が笑顔で会える、そんな毎日を築けるようにと心底思うから。


 今この時から、僕は松近君と呼ぶ。


 さん付けから君付けへと変わった。――君も今日からは、僕らの仲間だから。その思いが溢れるが故に、手を取り合ったの。僕が今、ここに招かれた理由は、そのためだ。


 この職員室と校長室の境にあるお部屋。そこで繰り広げるアンサーのために……



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