第八五四回 目的は手段を択ばず。


 ――だから、この様な形になったのかも。



 きっかけは、何でも良かった。お話がしたかったそうなの、松近まつちかさんは。その内容はというと、僕らと行動を共にしたいということ。足並みを揃えて生徒会の中へと……


 そうは言っても、僕らは今日が初対面だ。


 僕は松近さんのことを、あまり知らない。


 自己紹介さえ満足になかったのに、どう行動を共にしたらいいのか? 松近さんは僕のことを知っているけど……僕には情報量が少なすぎるから、先ずは自己紹介からだね。


 と、笑顔で、


「僕は星野ほしの千佳ちか、高等部一年生」と、元気いっぱいに。


 じっと見る、松近さん。僕をじっと……よく見ると眼鏡の奥は、ややツリ目。ポーカーフェイスも綻んで、徐々に馴染めそうな表情を見せ始めて、


「僕は松近正臣まさおみ、中等部三年生」と、響きも良く……そこで思う、えっ? と、驚きも含めて。僕よりも年上と思っていたけど、僕より年下だった。


 それにしても、生徒会の中へと……


 そして取り締まってきた、この都市全体の学校を。でも、それって、一人でできる作業ではないようで、そこで繋がる八神やがみさんと千歳ちとせちゃん。二人とも尋常ではない、松近さんが得る作業。それは組織。ただ、初心に帰りたいと思うも屡々……


 だからこそ、ふれあいには興味がある。極秘裏の壁を越えて今、このお部屋の意味と共に明かされる、その組織名。――松近さんは「ドミノ」と言った。


「僕も春から高等部。これまで僕は、自分が校則と言っていたけど、この子と行動を共にして初心に帰りたいと思ったんだ。僕は校則を自由に変えられると、思い上がってた」


「僕には松近さんのポジションはわからないけど、校則を変えられるということは必要だから変えるのだろうし……なぜ、そのことを僕に?」……今、校則を変えられることは確かなようで、例えばどのように? リーゼントや学ランの廃止とか? 今時は……



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