第一一七章 初雪は、シャンデリアのように。

第八四一回 季節は巡り巡って、この時期に。


 ――季節感を感じた今日この頃、もう夏の面影は薄れて冬支度に入っていた。



 十一月も末。疾風のように師走が追いかけてくる。ただそれとは反比例に、今この時ばかりは、ゆったりとした時間。まるで炬燵で梨花りかと二人、寛いでいるようなイメージ。


 今だけは、師走の前の静けさ……


 今だけは、思い返す一コマ一コマ……


 近づいていたの、そっと忍び寄る……コンテストの時期が。『書くと読む』の歴史を刻んできた第八回のコンテスト。今一度、原点に帰りたいと思った僕は、また梨花と一緒に挑むことを心に決めた。梨花もまた同じ。僕と一緒にエッセイでエントリーしようと。


 その中で僕は思う。この夜の間にだって、季節は巡っている。


 このエッセイを始めた時、僕は何を思ったのか? 僕が今もエッセイを綴っている理由は何か? それは続けたいから。きっと、僕にとっての生活の一部なのかもしれない。


 だから語り合いたいの。


 今一度、梨花と。……梨花は、どうしてエッセイを綴ったのか? 始めたキッカケは何だろうと、訊こうと思えば訊けたことなのに、どうして今頃になったのだろう? 千のストーリも近づきつつあるこの時に? すると梨花は静かに……


「きっと、千佳ちかと同じだよ」と、そっと一言。


「僕と同じ?」


「同じなの。皆と繋がりたいと思っている女の子だから。僕の場合は、Mさんがキッカケだったけど。千佳にもキッカケとなった子が、いそうだったし」


 それって、僕に言わせたいの?


 目の前にいるのに……はいはい、わかりました。


「そうだよ、梨花お姉ちゃん。僕が尊敬して止まない『りかのじかん』の『りか』さん」


「言っとくけど、別に自慢したいってことじゃないからね。千佳にそう思ってもらえることが誇らしいから。千佳は僕が尊敬して止まない可愛い妹だから、とても嬉しいんだよ」



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