第八四〇回 繰り出す夕映え時、今この時を。


 ――それはきっと、かけがえのない思い出の一コマとなるような予感。



 何でもないような一コマが、時として大切な場面に。記憶のアルバム。しっかりと脳内に刻まれている。このエッセイは、まさにその集大成ともいえる僕らの青春奮闘記……


 その建物。さっきまで滞在していた建物は模型専門店。名は『ジョーマル』……とある球団のスポンサーとなる位置付け。黄色と黒色がその球団のイメージカラー。そのカラーリングは僕も大好きなカラーリングで、梨花りかが購入に至ったプラモデルは珍しくもバンプラではなく、可変戦闘機だった。遥か昔に放送されていたアニメで……


 そうだね、お母さんの世代か、そうそうパパの世代。マクロの世界を描いた物語だ。


 梨花がこの度、選んだ機体は、その中でも特別性だ。

 黄色と黒色のカラー。そして髑髏どくろのマークが特徴だ。


 梨花が曰く、それは……


「パパと作るんだよ。千佳ちかも手伝ってね」とのことだった。可奈かなはフッと息を吐くと、


「本当にあなたたちは、仲良し家族ね。羨ましいくらいに」

 と一言、感想を述べた。広がる夕映えのお空。煌めく一番星が、その象徴ともいえる。


 印象に残るくらいに素敵な景色……


 大空のスクリーンに描かれる、壮大な紅色の、アートとも言えそうな夕映えだった。


 見入っているうちに忘れそうになったけれど、

 記憶の片隅から、スッと引き出して、


「ところで可奈、付き合うって何処へ?」と質問をした。可奈はハッとなった様子だ。


「あっ、そうだった。PCのこと。あなた今、ネットの繋ぎデスクトップだけでしょ。だからノートにもネットが使えるようにと、素敵なアイテムを紹介しようってわけなの」


「それなら可奈、お正月に来ようと思ってたけど……」


「そんなことだろうと思ってた。お正月は家族団欒でしょ。だからこの私が、あなたたちのために一肌脱いであげようっての。可奈お姉ちゃんに任せなさいって」と、力説……



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