第八三九回 マルチメディアの中心部で叫ぶ。
――それは愛を。そして今日という夕映え時のエピソードを飾るために。
今は令和。僕は平成生まれで二十一世紀の子。そしてこの模型専門店……五階はレトロな雰囲気で、昭和という時代を魅了していたの。ゼロ系が走行するに相応しい情景が再現されている。百五十分の一の世界に。模型という形となって蘇っていたの。
僕は思う。
今度はお母さんと一緒に来ようと。……なら、パパも
東洋の魔女の時代。この時にゼロ系は走った。
新幹線の開通が間に合ったと、歴史に刻まれている。初めての東京オリンピックだ。そして歴史は語られる。僕もいずれはママになる。その時は未来の旦那さんと、僕らの未来の子供と一緒に、またここを訪れる。未来の旦那さん。それはね……
「どうした?
「ううん、何でもない。ありがと、
と、その一コマが物語っている。そっと、未来を想像しながら……
少しばかり購入した。僕のお部屋に飾っている鉄道模型の情景を深めるためのストラクチャーたち。大事に抱えて階段を下りる。太郎君と横並びのまま。すると一階に満たない場所。言うなれば二階で見かけた。僕と酷似している女の子と、その子といつも一緒にいる子。僕と酷似している女の子はボブだけど、一緒にいる女の子は、いつもと違って髪を下ろしていた。背中まである髪。ストレートで綺麗に靡いていた。
見て見ぬふりというよりかは、その真逆で、近付く。ジリジリと焦らすように近づいてゆく。すると御対面を飾った。まるで鏡を見ているような顔と、その隣の御馴染の顔。
「よお、あなたたちも来てたのね」
「
初めに声を掛けたのは可奈だった。それをキッカケに僕は、その言葉に至ったのだ。
「ちょうど良かった。千佳、ちょっと付き合ってほしい」と、可奈は言った……
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