第八三三回 ハッピーハロウィンを迎える頃。


 ――かぼちゃのお化けがトレードマーク。何処かの写真で見た記憶があった。



 それは観光写真……


 思い起こせば修学旅行だった。とある観光地……那谷寺というその場所。記憶の片隅だけれど、しっかりと残っている。お母さんの手に渡っているの、今は……


 そしてお話は、もう十月も末。スーパーなどで見かけるお菓子はハロウィンの趣。つまり梨花に言わせたら、ハロウィン仕様と名付けられていた。籠の中に詰め込む。


 今日は土曜日。


 東洋の魔女に似たネーミングのバンプラを購入に、梅田まで繰り出してから、もう一週間となる。あの日も土曜日だった。あの子たちのことが過る、脳にある想い出の中。


 そこで僕らはアイコンタクトで、


 ……梨花りか千佳ちか……という具合に、次なる行動に定めた。


 向かう学園。そして施す細やかな仮装も。紺のマントで覆った。これもエブリアニメで好きなものだ。扮したのは『魔法使いの宅急便』で、蜂起も持参。お菓子も持って。


 僕らはハロウィンのことを、余り詳しく知らないけれど、

 あの子たちが待ち遠しくしていたようだから。――ハッピーハロウィン!


 その言葉を添えて、

 あの子たちの翳りを取り除いてあげたい。何か訳ありのハロウィンのようだから。生徒会としての、僕らの初めてのミッションだ。少しでも元気になって月曜日。笑顔で迎えられるようにと、その思いも添えて、僕らの思い。電車に乗るスローとなる午後の風。


 この時ばかりは穏やかな、秋晴れ模様。


 其々のイメージカラーに沿って着ているカーディガン。もう夏も過ぎてそんな季節を迎えていることを、肌で感じる今日この頃。近頃はこうして、二人で歩く機会も多く。


 そう思っている間に、芸術棟の前まで、この身が置かれていた。


 そして会える瞬間を待ち遠しくも、その一歩を踏み込んだのだ。



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