第八二三回 もしかして、新たなる案内人かも。


 ――諸葛しょかつ孔明こうめいとよく似た人物。その服装までもが、教科書を見事に再現しているの。



 三国志といえば中国。そしてここは、やっぱり絹の道……


 時間旅行が弾む道だったと、確信を得た。世界が繋がっている不思議な場所が故に、間違いはなく、どれも正解となることに気付いた。だから……


可奈かな、間違いじゃなかったよ。それどころか『ありがと』だったよ。

 可奈があの日、僕ら三人で行こって誘ってくれなかったら、梨花りかともこの関係になってなかったと思うし、かけがえのない思い出が作れなかったよ。どれも僕の宝だったの」


 との感謝の思いが溢れて、涙まで溢れてきちゃって。可奈はフッと息を吐くと、


「その言葉、まだ早い。何勝手に浸ってるの? 今はまだ笑う時。後輩の前でね、簡単に涙を見せちゃ先輩の威厳を損ねるから、それにほら、この子たちが困ってるでしょ」


 と、笑顔を見せての台詞。僕は涙を拭って言う。元気よくをモットーに言うの。


「さあ、君たち早速乗るよ、ジェットコースター」


 と、指さしながら。そこで……梨花は怪訝な顔をして「あれれ? 千佳ちか、確か苦手だったんじゃなかったの?」と訊くも、可奈は被せるように「フム、いい心掛けだ。敢えて先輩らしく気丈に振る舞おうってことね。流石ね、千佳先輩・・」と言い放つ。しかもこの子たちの面前で。……僕は退かない。なので「女に二言はなし。有言実行だよ、君たち」


 と、胸を張って、力み過ぎの象徴で仁王立ちにまで至ったけど、孔明さんは笑みを浮かべて、第一声でありながらも頂点な「実にいい覚悟だ。千佳殿、私も見届けさせてもらうから、存分に楽しむがよいぞ」との御言葉を頂戴した。


 そして僕の傍に、この子たちが寄ってくる。


「ねえねえ、それ面白い?」「僕ら早い乗り物は余裕綽々だから。もっとスリリングなものでも大丈夫だよ」と、千歳ちとせちゃんも菜花なのかちゃんも興味津々なようなので「乗るのは皆一緒だから。梨花も可奈も」と、その言葉しか、思いつかなかった。


 それにしても僕ら二組のボクッ娘は、見た目といい、共通点の宝庫と言えそうだ。



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