第八二二回 今この時に、思い切り愉しむこと。


 ――だから、もう少し僕らと付き合わない?

 ちょっとした時間旅行も兼ねて。時計は、ここでは必要ないから。



 何故そう思ったのかはわからないけれど、僕らは、この子たちともう少し一緒に、行動を共にしたくなったから。ボクッ娘はボクッ娘に何とも言えない興味を持ったから。


 そして絹の道は……

 テーマパークへ繋がる道へと、その趣を変えたの。


 追われて……と、この子たちのどちらかが言っていたから、訳ありとも思えて、それなら僕らと一緒にいた方が安全と、咄嗟に……野生の勘という表現の方が近いかな。テーマパークへと一緒に向かうことにした。なら、帰りはどうするの? そのワードが脳内で暴れて、それは心から声となって伝う、今ここで、伝えるための必要な言葉となった。


「君たちは何処へ向かってるの?」


「学園。……私立大和やまと中学・高等学園。そこを訪ねたらいいと、言っていたの……」


 と、答えてくれたの。声は小さめで戸惑いながらも、千歳ちとせちゃんの方が。菜花なのかちゃんと見分けるのは難しいけれど、可奈かなにはまだ見分けられていないようだけど、僕と梨花りかになら見分けられる。そんなに難しくはなかった。僕は撫でる、千歳ちゃんの髪も頭も。


「その学園、僕らも通ってるんだ。良かったら、そこまで一緒に送ってあげるけど」


「でも、駅まででいいよ。その学園の最寄りの駅。そこから僕ら二人で大丈夫だし」


「もしかして、僕らの帰り道を気遣ってるの?」


「そうだよ。千歳はこういう子だから」と、菜花ちゃんが割って入った。千歳ちゃんの代弁となって。「それより千佳ちかは学園の生徒?」と、訊くから。「そうだよ。さっきも言った通りで、梨花も可奈も皆同じ学園の生徒。じゃあ、君たちの先輩になるのかな?」


 瞬間に見る驚きの顔だけど、菜花はすぐに笑みを見せ、


「じゃあ、僕らよりお姉ちゃんだね。また会えるといいね、そこで……」と、謎めいた言葉を刻むの、僕の脳内に。そこで僕らは出会ったの、諸葛しょかつ孔明こうめいと、よく似た人物に。



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