第八二〇回 シルクの道、とある巡り合わせと。


 ――それは彼方から。お空と大地が触れ合う時、僕らが歩む道に変化が訪れた。



 様々な人が出会う道。細道は、まるで絹の道に化けたかのようだった。


 僕と梨花りか可奈かな、三人並んで、三人とも驚いていた

の。驚きも手伝ってか……


「可奈、この道で合ってるの?」


「可奈、確認してみる? 現在地……」と、スマホを取り出しナビで、今一度の検索をするのも。僕と梨花、どちらがどちらの台詞か区別がつかない程、可奈はテンパっていて、


「アハ、アハハ」と繰り返し、遠い目の立ち尽くし。収拾のつかない感じのまま、突然目の前に影が、疾風の如く現れ、大激突……つまり正面衝突に至った。短い悲鳴とともに。


「い、痛て……」

 と可奈だけでなく僕と梨花も、転がる地面。


 猪の激突とまではいかないものの、激しい衝撃には変わりなく、皆が地面に転がっている。ぶつかってきた方も……どうやら二名いるようだけど、一人は上半身を起こしたものの、もう一人はピクピクと、倒れたまま……


「君、大丈夫?」と、僕は駆け寄る。ピクピクと倒れたままの子の方へ。じきに梨花が僕の傍へと駆け寄って、そのタイミングで起き上がる、その子……印象に残るのは青い瞳。


 ――異国の子?


 僕と同じボブだけど髪の色、色白の顔。ほんのりと雀斑も。そう思わせる。言葉は通じる? もし英語だったら? それ以前に、未知なる言語だったら? その思想が駆け回る中で「ごめん、追われてて」と、その子が言った。その女の子が……すると、もう一人の子、その女の子とよく似た女の子。……よく似たどころか、まるで僕と梨花のように鏡でも見ているような感じ。「ごめなさい、お怪我ありませんでした? 僕らは急いでいますので……」と言うも痛々しそうだったから、僕と梨花はアイコンタクトで、


「良かったら、僕らと少し付き合わない? きっとその方が安全だと思うから」


 と、思わず出た言葉。それでも僕の口から出た言葉だ。同じボクッ娘に向けての……



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る