第八一九回 紡ぐことは、やっぱり旅路の中で。


 ――時よ、止まれ。


 そう思うことも屡々、どの旅路も二度とない思い出となるのだから。



 そして、この面々。


 僕は緑の薫りの中で思う。二度と戻らぬ今この時、出会いもまた不思議……

 君たちと同じ歴史を生きている。かけがえもなく大切なこと。今この瞬間さえも。何処へ行ったかではなく、誰と一緒だったのか。とても大切なこと。



 明日も会えると当たり前の日々のようだけれど、出会った時を思い出してごらん。


 巡り会えたことは、万が一よりも奇跡なの。


 もしも死んでいたなら、会うこともない見知らぬ関係。……この子たちと思い出を作ることができなかった。優しいお姉ちゃんと、楽しいお友達とも。


 自ら命を落とそうとしたこともあったけど、生きていて良かった。何があっても自ら命を絶たないと、僕は約束したの。だから僕は今も、今日という日を迎えて……


 この子たちと、また一緒にいる。星野ほしの千佳ちかという存在のまま。

 お母さんから、そしてパパから、生まれた命だから。ありがとうと尽きない感謝。



 木漏れ日は、刻まれる。

 青春というメモリーに、刻まれるのだ。



 歩むは細道。奥へと続く細道……

 その中で蘇る記憶は現代進行形と繋がってゆく。未来へ続く道程。


 梨花りか可奈かな。この二人の出会いから、僕の時間がカラーになった。赤、青、黄の三色が溶け込む変化ある日常。僕ら三人の色、其々が色を持つイメージカラーは、三人が三色で対になっている。赤は梨花。青は可奈。そしてこの僕、黄は千佳だ。



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