第一一三章 夕映えに、風鈴の音色が懐かしく。
第八一七回 たまにはいいよね? こういうの。
――それはバルコニーとお部屋を仕切るガラス戸。奏でる風鈴の風情飾る調べ。
その優しい調べは、そっと僕の脳内に、想い出として刻まれる。……
その前に
僕らの目の当たりに、バンプラ作成中の机の向かい側に、可奈がいたのだ。
僕が梨花と再会してから、
三人は一緒。いつも一緒。芭蕉さんと初めて会った時も、三人一緒だった。
「それにしても
と、可奈は言う。これで何度目? 梨花とは鏡を見るように、激似どころか瓜二つというレベルだけれど、これもまたお約束で……「これで解り易くなったね、梨花と千佳」という具合に、見た目もハッキリと。どう見ても日焼けしている方が僕ってことじゃない。
わざわざ横並びにして、その違いを比較。
それは多分、新学期まで維持なのか? ではないのだ。もちろん道連れだ。例えばこのように……「可奈、今度は連れてってくれるよね? 僕らが
「そ、そんな約束してたっけ?」と、可奈の目は泳ぐ。
癖もあの時と同じ。都合が悪くなると、このように逃げようとするのも、あの時と同じだ。なので逃げられないようにと……「してたよ、可奈。今度こそお願いね」と、僕の台詞を梨花に盗られたのだ。ちょっとちょっと、いつもいいとこばかり。
……とは思っても、貫録が違うの。僕もそうだけど、可奈もまた「……はい、わかりました」と声も小さく、渋々「あの、一緒に地図で場所を探してほしいの、お願い」と、少し涙目で言った。それ程までに梨花の迫力は、相当なものと思われる。
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