第一一二章 さあ出発だ。いま陽が昇る。
第八一〇回 草原に立つ、その時。
――とは言っても、まだ出発には遥かに早くて、もう一寝入りしたい心境になる。
ベッドの上、お布団の中。あの日の乾草のお布団、気持ち良かった……
その中で起きる夢の中へのお誘い。誘惑ともいう。そこで思う、芸術棟で奮闘する僕の後輩のこと。それ以前に同じ『星野』という名字の、親戚の子だけど……
それが彼女の名前。
私学展で出展する作品を描く傍らで、芸術棟で起きる七不思議を解明するのと、大いなる冒険を試みている。そしてそこで起きる出来事は『書くと読む』の『G`sこえけん』というコンテストの連載で作品化されている。まさに体を張った作品だ……
睡魔。
それは急に訪れる。
息は整う、寝息へと……
脳内の暫しの休息も兼ねて。或いは夢の中への入口へと。
引っ込み思案で覆われていた募る好奇心。冒険の動機はいつもそこにあると思う。葉月は一歩どころかホップステップジャンプな、驀進するようなイメージ。羨む程に大きな変化を遂げた彼女。なので、僕もまた冒険への旅。旅は人生に似たりと云われている。
夢の中は……
いずれ現実となる。
僕がウメチカでしたかったことが、今開かれる。リアルな情勢に負けないように、手を取り合って歩むの君と。だから僕は、草原に立つ。夢の中の草原は、現実の地に足。
トキメク恋心と冒険心。
その目は、この上なくキラキラと輝いていることだろう。少女漫画にも負けることなく最強に。今更の恋心、でも尽きない恋心。もっともっと君と燃えるような恋を奏でる。この暑い夏よりも。目覚めたらそこはもう、二人の冒険の始まりだから。
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