第七九九回 期待はゾクゾクと。


 ――ゾクゾクは、つまり続々という意味。続くという意味だ、果てしなく。



 勝ち進む度に対戦した相手の思いを糧に、決勝戦へと臨む。


 決勝戦は、いわばその集大成ともなる戦。それが第三回のウメチカ戦を飾る。終わり良ければ総て良しの思い溢れるエンディングを目指して。まずは準決勝からだ。


 人生ゲームで喩えるなら、運命のルーレット。


 双六で喩えるならば賽子。賽子のように、賽は投げられるのだ。



 そして今日、まるで白雪姫のように目覚めた僕は、その王子様と共にある。……しかしながら言葉には出さないけれど、僕は一念を込めて願っている今。


 目の当たりに起きていること、その現実に。


 繰り広げられる運命の戦いを。――瑞希みずき先生と佳子よしこさんペアーと、怜央れお君と葉月はづきちゃんペアーが激闘を繰り広げている。大画面をも狭しと、赤い巨人に変身を遂げた怜央君。よく考えたら変身というよりも、それが本性かもしれない輝く獅子の瞳。その名も我らのウルトラ・レオ。設定では、身長は凡そ五十メートル。タイムリミットは約二分半となる。


 対する瑞希先生も変身。しかも二段変身。仮面タイガーが拡大するのだ。巨大化ではなく拡大。強さも技も、それに溢れる野性味までも……なので果てしない拡大。しかしながらあくまで対等。広がる身長は五十七メートル。その体重は、堂々たる五百五十トンだ。


 もちろん空を飛ぶ。マントを靡かせ。


 お顔はタイガーそのもの。体は丸いフォルムが特徴。バッタを思わせる黒と緑。そして爪は鷹の爪を完備している。普段は隠しているそうだ。能ある鷹は爪を隠すから。


 なので見事なるタカトラバッタの競演が、ここに完結したのだ。

 もちろんリミットも設定しているそうだ。同じ凡そ二分半なの。


 この二人の戦いは、光線技よりも格闘技。お互いに『きりもみキック』を取得しているから、どちらも大きなダメージ。開始いきなりのことだった……



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る