第七九八回 明朝、パカパカと。
――蹄の音? 迎えに来る白馬の王子様。「おはよう」と甘い言葉を僕に注いだ。
その口づけは、蕩けるような蜂蜜?
或いは檸檬のように、時には刺激?
どちらも君の味。僕は女王様のように優雅に味わう。……もっと、ン、もっと……
零れる甘い声……それと共に「
ン? 現実?
パッと目覚める? じゃあ、今のは夢? 混乱最中に、
ええっ? と声にならない悲鳴。しかも寝起き。しっかり見られちゃった僕の寝起きの顔……「どうしたの、太郎君?」と、僕はパニック半ばそう言ったみたいで、
「どうしたじゃないだろ? いくらスマホでコールしても出ないから、その挙句に
言葉が詰まる太郎君のその顔を見ていると、
――ボン! と脳内で激しき効果音が鳴り響いて、見事なる赤面を成し遂げつつも、
「キス……したの?」
と、わざわざ訊かなくても。恥ずかしさが増すばかりだけれど……コクリと頷く、正直に生真面目にコクリと頷いた太郎君を見ると、「おはよっ、太郎君」と満面な笑顔。
照れ隠しなのも頷けるけど、
それ以上に、嬉しさが満開していたの。弾む脳内と暑い盛りのコラボが誘ったから。
「目覚めた白雪姫は、
王子と一緒に舞踏会に向かうのでした」と、太郎君の掛け声。いざ出陣だ。
でも、その前に汗を流してから……
梨花も道連れに「乙女の嗜み。ちょっと待っててね」と、声を艶やかにしながらも。
こうして三連休の最終日の幕開け。つまりは決勝戦の朝を、この様に迎えたの……
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