第七九七回 チカチカザクザク。


 ――意味不明?


 でも僕は、どうやら好みは梨花りかと似ているかも。



 それは、バンプラの機体……


 僕もレッドコメット専用機が、やはり好みのようで、レッドコメット専用バーガーも大好き。だけれど、連邦の機体もまた好み。人に近いフォルム。脹脛がリアル……気が付けば夢中で、梨花の横で一緒に作っていた。梨花が予約して一年越しで手に入れた『MS79・マンダム』を、何と明峰メイホウも交えて三人で組み立てていた。


 僕はハッとなるも、


「梨花、これ組み立てるの楽しみにしてたんじゃ……

 僕らが一緒で良かったの? 本当は一人でじっくり組み立てたかったんじゃないの?」


 と訊いたら、梨花はクスッと笑って、


「楽しいよ、皆で一緒だから」


「でも……」


「本当は去年の夏休みにね、千佳ちかと一緒に組み立てたかったものだから。それも一年越しに叶ったから。明峰ちゃんという新しいお友達もできたから、ねっ」


 その瞬間だ。梨花の心に触れたような気がして、グッと込み上げてきた。僕は、梨花がお姉ちゃんで良かったと思えて、込み上がる思いが広がってきて、それで……


「はいはい、ここは楽しくだぞ、千佳」


 と梨花は、僕の口に人差し指を軽く当てた。涙はストップだからという意味を込めて。


 言葉にはなかったけれど、僕には理解できたから。ウンウンと、ティムさんは頷いているように見えた。同じお部屋で四人……楽しく夢中になれた時間こそ、あっと言う間に過ぎてしまう。儚く思えても、心に残る時間。その時は少し寂しくとも、後に残るのは楽しかった思い出の一コマ。今はもう楽しかったことは、ザクザクと溢れていることだろう。


 昨日よりも今日、楽しいことは拡大するのだから。



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