第七九六回 リカリカサクサク。


 ――それは効果音の一部。そして梨花りかのアクションを表現している。



 急なことは百も承知。

 梨花がお家にいるかどうかも、わからないまま。


 まさに勢い任せでお家に到着。僕は探る、梨花の存在を。まずするべきことはそれからだと、それしかないから。いないのならば、自分が蒔いた種。僕との共同作業も……


 そう思った時だ。

 梨花が、何やら荷物を抱えて帰ってきた。


 僕は思いの丈を告げた。何も相談なしで、お家に連れてきて頼み事も合わせて……でも笑顔で「いいよ、でも不思議だね。僕も珍しく連邦の機体を作ろうと思ってほら……」と見せてくれた。それも、MS79・マンダム。……あのソムロ専用機のファーストじゃない……「よく手に入ったね」と、僕まで感激するほど。梨花がこの上なく上機嫌なのも手に取るほどわかる。「一年越しだよ、予約したの。やっと会えたんだよ」と、もうその箱に頬ずりするほど。……明峰メイホウは、そんな梨花にビックリしていたけれど、


「とても良かったよ、バイオリン。

 その前に初めましてだね。この子とよく似てるけど僕は梨花。よろしくね」


「リカ……ドッチカワカラナイホド、チカニヨクニテルネ。バンプライッショニシヨ、リカがオシエテクレルッテチカガイッテタカラ。ネーネー」と梨花の手を引っ張る明峰。


「そんなに急かなくても大丈夫。一緒に作るから。

 あなたのお名前、まだ聞いてなかったね。ティムさんとは知り合いなの?」


「ワタシハメイホウ。リュウメイホウトイイマス。ィユハンハ、アナタガタのヨブトコロノティムハワタシノアニ。ワタシハサガシマシタ。アニヲ、タズネテキマシタ。ソシテチカハ、アワシテクレマシタ。ワタシノオモイヲカナエテクレタオンジンデス」


「と、いうことなんだ。千佳ちかには感謝してる。梨花もありがとう」と深々と、ティムさんは頭を下げた。「そんな、頭上げて下さいよ」と梨花も僕も口を揃えて……



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