第七八二回 気分上々! 可変戦闘機の性能とやらを。


 ――その可変戦闘機は三段階の変形を熟した。まるでダンスのように。



 それもポットダンス。ミサイルポットからの乱射。ウルトラ・タロを攪乱するには充分な効果。童心に帰った戯れのように見えても、その裏側は外せない真剣勝負。可変戦闘機は中間形態から、人型形態へと変形した。機関銃のようなミサイルポットを構えながら。


 太郎たろう君が変身した赤い巨人・ウルトラ・タロ。


 ひかる君が操縦する可変戦闘機が変形を遂げた、人型形態のノッコロイド。


 繰り広げられる空中戦。ノッコロイドになって戦闘機形態よりも速度は激減するかと思いきや、そんなことはなく決してそんなことはなく、音速の世界を描き続けていた……


 その身長差は、ゼロ……


 ノッコロイドは設定では十二メートルほど。ウルトラ・タロは通常は五十メートル強だけれど、伸縮自在で相手に合わすことが可能。太郎君の性格が反映しているのか、対等を好み、ノッコロイドに合わしている。輝君にとっては、そんな太郎君の心遣いに感謝しているという。だからこそ、全力全開の攻撃を仕掛けるのだ。それは太郎君も臨むところ。


 基本、ウルトラ・タロは光線攻撃が必殺技だけれど……


 肉弾戦も駆使して『ウルトラ・キック』や『ウルトラ・空中チョップ』などの技もあるけれども……この回より僕も初めて見た必殺技があったの。


 それは何? ヒントは、ブーメランのような飛び道具と、機関銃のようなミサイルポットに対応した……ガトリング砲のような形状のアームユニット? その様なもので……


「よし! 倍返しだ!」


 と、飛び交う雄叫び。そして……刺さったの。効果音も高らかに。


 ブーメランのような、タロの金属製……喩えるならステンレス製の鶏冠。すると太郎君は言うの。「鶏冠? おいおい千佳ちか、ネーミングセンスはイマイチだな」「ブーッ、解り易く説明してるの」「まっ、そうだな。鶏冠の部分であることは確かだな。その名も『鶏冠ブーメラン』だからね」「結局そのまんまってわけじゃない」と、僕はプッと笑った。



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