第七八一回 上空彼方! 青い山脈が現代に蘇ると?


 ――雪割桜のはずが、激しき豪雨に。それはまだ、僕らが雲の下だから。



 追いかける視点。これまでは三倍速の戦いだったけれど、ここから先は音速の戦い。


 追いかける視点は、上昇を続ける。上へ上へと……


 音速……つまりマッハの領域。℮スポーツの常識を超えた戦いが今、始まろうとしていることは、鼓動のその先に予想されている。或いは勘に近く雲を超えたの。


 某アニメを意識したことがもろわかりの、タイガースカラーの可変戦闘機。それについてくるのは、我らが赤い巨人のウルトラ・タロだ。戦いの場は雲の上なの。


 そして豪雨は消え、青い山脈が見下ろせる位置にあった……


 可変戦闘機の操縦者は、北條ほうじょうひかる。僕もここからは彼のことを輝君と呼ぶことにする。でないと別のイメージが湧いてしまうから。因みにこの部門は格闘技のイメージが強い。対するウルトラ・タロは、太郎たろう君で名字が南條なんじょうだから、北と南。お星様が大好きな可奈かなから見たら、まるで夢のコラボとなる。更に、僕と梨花りかの、それから葉月はづきちゃんの名字も星野ほしのだから、壮大なロマンが広がってしまう。北斗と南斗の組み合わせも手伝えば、


 ――とある世紀末な物語になってしまうことが予想される。


 でもでもでも主人公はこの僕、千佳ちかだから、基本は少女の物語なの。しかしながらこの二人……マッハな勢いでジャンルをも飛び越えているの。大空こそ、この二人のスケールだと、お互いに譲らないプライド。まさに男同士の戦いを垣間見る。見栄もあるけど、お互いが童心に帰ったように満喫している様子。――ほら見てごらん。


 玩具おもちゃ遊びを楽しむような輝君の顔……


 それに対してヒーローごっこを楽しむような太郎君の顔……


 どちらも、小学生の楽しかった頃に戻ったような、どこか懐かしい顔ぶれなの。僕もその中へ入りたいような気持ちになる。そしてこの会場も同じように湧いているような感触もする。もう釘付けと言っても過言ではないような。だから人気があるのかもしれない。


 童心に帰れる場所。パパとママたちもきっと、楽しめるそんな場所になるの。



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