第七八〇回 一筋の光! 君はそこに何を見るのか?


 ――お互いに見える一筋の光! それこそが勝利の決定打!



 それはきっと一念の光と僕は確信する。絶対勝利の一筋の光、そこに向かって槍は、横槍は一切なく、まっしぐらに進む。刺さる! 槍の鋭い先端が、りんのアバターの腹部。そして貫通する、胴体を。僕のアバターは傷だらけとなるも、確かに三倍速のその先を予測し、己を信じた結果ともいえる。僕の槍は勘で動き、その勘を僕は信じたの。


 そして蘇る……

 凛と一緒にいた楽しい日々……


 幼き日の、そのままを、これからも繋ぐ光でありたいと、僕は願っていた。


 すると凛は、涙も浮かぶニッコリ笑顔。――「千佳ちか、あなたとウメチカ戦で戦えて本当に良かった。凛は見るよ、千佳と太郎たろう君が何処まで勝ち進むのか」と、遠くからでも画面越しでも、その言葉は響いた。その言葉は、僕の心に響いたの……


「もちろん優勝だよ、凛。この三連休は寸暇を与えず、きっと虜にしてみせるから」

 と、ここからまた新たなる挑戦状。それが凛のその言葉に対しての答えだ。


「楽しみにしてるよ、千佳」


「ありがと。これからも僕のライバルの凛」


 三倍速なだけに、この勝負は殆ど一瞬だった。だけれど、一瞬だったからこそ、綺麗に飾れたと僕は信じている。凛も、また同じと感じた。凛は、ずっと答えを求めていたように思える。本当は迷いの中にいたのかもしれないの。……僕も、梨花りかたちと出会う前は同じだったと思う。どうしようもない現実だったけど、それでも心の片隅では希望を抱いていたから、心は諦めていなかった。僕は凛のように強くないけど……


「ううん、千佳は強いよ。凛が太鼓判を押してるから」と、凛は言ったの。僕の心に声に対して……「それよりも千佳、次はひかるの出番だから、太郎君に心してと伝えてね」と、寸暇を与えない戦い。ウメチカ戦は充実している。前回以上に激戦の連続なの。


 そして凛は、北條ほうじょう君のことを『輝』と、名前で呼んでいる。そちらの進展も速そうだ。



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