第七七五回 あの鐘を鳴らすのは。


 ――それは、あなたと一緒に!



 想い駆け抜けるこの夜の向こうに、それはあるの。明日の朝、モーニングコール。


 鐘の音のその後にある……あなたの爽やかな一声。

 日付変更線を越えた今……あなたとともに三連休。


 三度のウメチカ戦、あなたとまた、ともに手を取り合って挑みゆく。ウメチカ戦は今日の十時より開催される。その形式は、また拡大するウイルス感染を考慮したもので、オンラインでの試合となる。場所はウメチカ……梅田の地下が拠点の試合の場となるの。


 つまり、その場に来られない挑戦者も考慮している内容で……


 選挙であるなら不在者投票に例えられそうな感じの、℮スポーツなら、そのような試合の組み方。この三日間、これまでと同様なトーナメント方式が基本だけれど、土日は予約制で組まれている。月曜日が準決勝後の決勝戦となる。なにしろ、どの場所にいても参加可能な内容を、企画者側は目指しているから。回を重ねるごとに、参加者は増している。


 だからこそ、感染防止対策は念入りに行われている。

 四回目も五回目も……末永く続けてゆきたい都市挙げてのビッグイベントだから。


 そして僕とあなた……

 これからもずっとパートナー。


 ウメチカ戦だけではない、将来にわたるパートナー。


 必ず、子供を育む未来は、僕とあなたは必ず一緒に。我が子には必ずパパとママがいる未来に。我が子が生まれて、我が子を囲むパパとママは必要不可欠と僕は強く思う。


 きっと、あなたもそう……


 ママは決して我が子を諦めない。僕は、お母さんの背中を見てそう思った。最後には必ず、僕のお母さんでいてくれたの。憎んだことも嫌いだった時期もあったけど、それは僕がまだ子供だったから。大人の世界を知らなかったから……その思いを踏まえ、


 僕は太郎たろう君と、あの鐘をならすの。とある場所の、新章の始まりの場所……



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