第七六五回 マンデーは、サン・シャイン!


 ――台風が近づく雨でも、心は晴れ晴れ。ポジティブなサンシャインなの。



 登校は、学園に近づくにつれ、集団登校へと変化を遂げていった。初めは三人から。僕と梨花りか可奈かな、いつものメンバー。改札口で太郎たろう君と偶然にも合流し、電車の中でしょうさんとも合流した。翔さんに関しては神出鬼没で、いつの間にか目の前にいたの。


 未だ明かされていない翔さんのお家。その場所も、その最寄りの駅も……


「そろそろ教えてよ」と、僕が言う前に梨花は訊いたけど、「謎が多い女性って素敵って思わない?」と答えになってない答え。一人称が俺の男勝りだけれど、カッコよく憧れの女性。もしかすると翔さんが、一番に女性らしい女性なのかもしれない……


 そして四駅しえき。学園の最寄りの駅。


 そこから歩む間にせつやシャルロットさん、らんも。そして北條ほうじょう君と一緒にりんも、僕らの行進に便乗してきた。ともに歩む……凛は笑顔だった。サン・シャインのような笑顔。どうやら、僕らよりも親密な関係の人が傍にいたようだ。それは北條君。凛との会話のその内容からそう解釈ができる。直接訊くのは、きっと野暮というものだ。


 雨はそんなに強くなく、

 寧ろ丁度良い加減だったのかも。ゆったりとした感じの傘……それは赤い傘。二人で一つの傘ということは相合傘というもの。それが何よりのアピールポイント。言葉にしなくとも、凛はボッチでないということを。そして言う、僕に言う……


千佳ちか、ありがと」と。


「これからは皆一緒。もう誰もボッチなんかにならないからね」と、僕は繋いだ。


「そうだぞ、じゃじゃ馬。戦うなら俺も誘えよって、まあ、それはそれとして特に心配してたんだぞ、こいつは、千佳は。今度から許可を得ることだな。じゃじゃ馬だけじゃなくなったしな、ジャッジメントは。この学園にはこの学園の生徒会ってものがあるからよ」


 と言い放った、翔さんは。すると凛は、するとね……


「じゃじゃ馬じゃない。凛は凛という名前なんだからね」と、堂々たる返す言葉。



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