第七六三回 日曜日は、忘れないの。
――微笑みを。壁に飾られている写真の
雨がシトシト。お空も灰色に広がるその下で、僕はポッテンポッテンと歩いていた。
脳内に染み込む思考。それでも……
僕は一人歩く。明日には
黄色い傘の出番は初めの方だけで、
あとは最寄りの駅に入ったのなら、あまりその役目はなかった。
するとそこで……
ポンと叩かれた肩。朝方から豪く大胆な……と思って振り返ったら、
「よお、どうした? 折角の休みにそんな時化た面してさ」
「し、
そう、翔さんだった。いつ見てもスラッと伸びるカッコいいスタイル。一人称が俺の男勝りだけれど、女の僕から見ても羨ましい程の女性のしなやかさも兼ね備えているの。
「どうしたどうした、今から何処へ? 急ぎの用か?」
「そうでもないですけど……もしかして
「そんなのわかってるよ。じゃあ、俺とちょっとばかり付き合えるよな。千佳を元気にしてやってくれと頼まれたからさ、協力してやってくれよ、な?」
凡その察しどころか、誰が翔さんに頼んだのか、もう僕の中ではハッキリしていた。
「わかりました。翔さんも大変だね、僕の姉が相手だと」
「まったくだ。こちらの都合も考えないで、ほら、急に電話くれてさ」 と、見る翔さんのスマホの着信履歴。しっかりと表示……本当に急だ。つい五分前ものだった。
「乙女の元気の仕方は心得てるよな?」と、翔さんは訊いた。
「しっかりと食す、ラーメンをだね、翔さん」と僕は答えた。行く先も脳内に添えて。
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