第七六二回 驚愕な話。昇る朝日に。


 ――それは学園を包み込んだ。時の話題とさえなりかねない状況にまで至りそうだ。



 せつは話した。りんの過去。そこで凛が見て経験したことを主として。


 そこにいたのは摂だけではなく、この場面を執筆しているってことは僕もいて、太郎たろう君も。梨花りか可奈かなも……って殆ど皆。この日、凛は休んだ。その方が都合がいいと思った。


 その話した相手とは、先生。


 早坂はやさか先生だった。なぜ早坂先生なのか? 同じ匂いを感じたからと、摂は言う。確かに顔の広いもの同士。情報には情報で、と思ったそうなの。でも、驚愕な言葉……


「まだあったのか、学校にそんなものが」


 と、声も荒げて。いつもは、その様なレベルと思われる出来事があっても、この様な反応を見せたのは初めてのこと。寧ろ驚愕したのは、摂を始めとする僕らの方……


「かつて情報屋稼業という組織があったんだ。先生たちがまだ、この学園の生徒だった頃に。少しばかり違うが本質は、僕らと同じで、学園の治安維持を目的とした組織。でも似てるな、その組織がいつの間にか暴走するところも。今は凛君から目を離さないで……」


 その時だ。

 僕にある種の直感が過った。


 あくまで直感、野生の勘とも思えることだけれど……


「もしかして早坂先生自身が、その情報屋稼業だったのですね」


 と、声にまで、ついにその発言にまで至った。皆が僕を見る。


千佳ちか君のいう通り、その通りだ。だから、僕の方から君達にお願いがあるんだ。協力をお願いしたい。撲滅するんだ、その組織。後世に残してはいけない。あくまで僕らは、普通の学園生活の上で、学園の治安維持を目指すんだ。そのための生徒会だからだ」


 と力説。早朝の、学園での出来事。


 その舞台は、とある視聴覚室での、誰にも気付かれないような密室の場だから。


「もとより承知!」と、声高らかに意気投合。これが最後、最後の戦いとなるの。



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