第七六一回 其々の夜。想い星空に。


 ――響くキーボードの音色。お星様が鏤められるお空に届けとばかりに。



 刹那的……

 或いは切なくも、過ぎゆく時間……


 このエッセイも、長過ぎたと思えた千のストーリーズ。でも、近づくにつれて、まだまだ続けたいと泣きそうにることも、最近はよくあること。この出会いを大切にと。


 彷徨える……でも確実に、しっかりとした其々の想い。


 想い出の……途切れた糸を繋ぐように、僕とりんの物語は繋がった。思えばそうだ。梨花りかとも、それに太郎たろう君とも、あの日生きることを諦めなかったからこそ繋がった、かけがえのない縁とその物語の続き。僕は今一度思う。旧一もとかずおじちゃんとの約束、誓いを。


 高鳴る鼓動。込み上がる、生きていることの実感。

 今、僕がここにいるとの、確かなる手応えと、まだ続けたいとの思い。


 だからキーボードを弾く。


 僕とともに走る文字たち。心の音色を奏でながら。



 凛は、お仕事として行っていたのは、学園での風紀委員というもので、……でもハードなもの。ジャッジメントと名乗る程で、警察と同じ意味が仕込まれていた。学園で起きた事件の解決のため、格闘能力のある生徒を集めていたという。凛の薙刀がまさにそれ。


 その学園は、僕らの学園では勿論なかった。


 凛が中学生時代に学園生活を過ごしていた場所。それは何と……私立薫英くんえい高等学園だったの。しかも知らなかったの。その学園に、中等部が存在していたことを。凛がその一期生だったそうなの。薫英学園は今から四年前に、中等部を試験的に設立したという。まさにテストケースで行われていたそうなの。その時に誕生した、その学園の風紀委員……


 あの可奈かなの情報通よりも、広い顔のせつさえも知らなかったこと。何せ摂のお父様は、かつての令子れいこ先生のお父様と並ぶほど有名な、現代のPTA会長なのだから。



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