第七五六回 旬なレッドコメット・バーガー。


 ――そのセットで注文。場所はマクドへ移っていた。その人数は五名となる。



 ここで初めて体験する。バンプラで超有名なキャラ、シュー専用マクド。とくに梨花りかには堪らないはず。何せ組み立てるものの大半が、このキャラ専用の機体だから。


 目の当たりにするメニューと、その推しのキャラ。

 少女漫画のように、梨花の目はキラキラしていた。


 その点、僕は空腹で堪らなく、この子たちの奢りを頼りにしていた。駅からすぐのマクド。もう雨はその面影を消して、架かる虹を引き立てるような青い空、心ゆくまで広がってゆく、何処までも。僕と梨花と可奈かなが並び、向かい合わせに薫英くんえい女子が二名。


 そして聞くことになる、ザックリとした身の上話を絡めて。


 不登校だったこの二人。第一回目のウメチカ戦の観戦を機に、勇気を出して登校したという。ある程度は知っていたという、僕の身の上話も。なら……どのようにして僕らと会ったのだろう? それはこの子たちから、お話する運びとなった。


「とある小説サイト『書くと読む』……自主企画に参加したよね? 主人公が双子の企画に。そうなの、あれ、私たちの企画だったの。そこで知ったの、あなたたちのこと。特徴は鏡を見てるような、酷似した容姿。髪はボブ。背は……ちょっと小柄。名字は星野ほしのということから、他にはなかったの。これ程までに似てる双子って。見分けるの大変ね」


 と、二人は改めて僕と梨花の顔を見る。あまりにマジマジ見るものだから、恥ずかしくなって話題を探すのに必死。それ以前に僕は話題を展開するのは不得意。求める助け舟。


 ……すると、


「ねえ、君たちも双子?」と、唐突に梨花は訊いた。


「ええ、いかにも」「やっぱりね、そんな感じがした」と……梨花はいつから気付いていたのだろう? 時折有り得ない程、勘が鋭い時がある。


「もういいかな? お名前教えてくれても」と、そこから始まる自己紹介。「空野そらの美晴みはる」「空野千晴ちはる」と名乗った、薫英女子二名が。そして上級生と思いきや、僕らと同級生。そこも梨花は気付いていたという。



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